【症例】矯正治療後の先天欠如歯に対する接着ブリッジ
治療内容
接着ブリッジ期間
3ヶ月治療回数
4回(別途カウンセリング、資料取りで2回)費用
約50万円(片側25万円)治療前の主訴・状態
患者様は連携している矯正科の先生からのご紹介で来院されました。
治療が終わり、生まれつき欠損している歯(先天欠如歯)を接着ブリッジ治療で補いたいとのことでした。
治療詳細
まずは、治療の準備を行います。
赤と青の咬合紙というものを用いて、咬み合わせの記録を行いました。その他にも患者様のお口の情報を集め、治療回数や治療のゴールについて共有しました。
そして、実際の治療に移ります。
はじめの2回は、最終的な歯の形や長さ、他の歯との調和を、仮歯を用いて患者様と煮詰めていきます。
今回は先天欠如歯のために歯肉の形を修正する必要がありましたので、「歯肉整形術」を行いました。麻酔は必要ですが、軽度の整形であれば術後の痛みはほとんどありません。
歯肉整形術後の状態です。青い丸で囲んだ2箇所が凹んでいるのがわかるかと思います。
3回目は型取りを行います。
こちらが採った型の写真です。欠損している歯の1本後ろの歯を削っています。
ここに石膏を流すと、模型が出来上がります。この模型を用いて歯科技工士の「北園」にブリッジの制作をお願いします。
ブリッジができあがりましたので、装着していきます。
こちらは、装着後の裏側の写真です。
当日は、しっかり装着できるように歯をよく乾燥させます。
しかし、乾燥により歯が全体的に白濁してしまうので、正面から見ると接着ブリッジが相対的に1トーン暗く見えてしまいます。
ただ、この白濁は1週間ほどで元に戻るのでご安心ください。
治療後の様子
術後2週間経過した写真です。隣の歯に水分が戻り、装着時よりも馴染んでいます。
主な副作用・リスク
・他の治療よりも歯を削らない代わりに、固定性が低いので脱離や破損の可能性があります。そのため、咬み合わせが強い部位は適応外です。
・隣の歯がすでに削られている場合や被せ物であると適応になりません。
・歯を削ることで、冷たいものがしみたり知覚過敏になったりすることがあります。
健康で豊かな生活を歯の面から支えます
本症例のような前歯の先天欠損に対する治療法はいくつかあります。
現代において、歯の欠損(喪失)に対する第一選択となるのはインプラントです。
次に保険適応でもあるブリッジ、そして今回の接着ブリッジ、可撤性義歯(入れ歯)などがあります。
基本的には、他の歯を一切削らずにすみ、他の歯に負担をかけないインプラントが第一選択となることが多いです。ただし、患者様の年齢といった他の要素を加味すると、インプラント以外の選択肢も積極的に検討していきます。
接着ブリッジは、「ダイレクトボンディング」などの接着治療の中でも特に難易度が高く、ほぼ接着力に頼る治療です。
昨今、技術の進化や企業努力により接着力が飛躍的に向上しています。しかし、相手は人間という生体であり、特に口腔内はとても過酷な環境です。
信憑性のある文献で、「10年トラブルなく経過している割合は70%」程度の結果しか出ていません。接着力も経年的に落ちてきてしまうので、いずれは接着ブリッジも取れてしまうでしょう。
しかし、歯科治療はすべてが「延命治療」です。一昔前は、インプラントを除けば両隣の歯を全周削るブリッジ治療が一般的でした。
ブリッジ治療は歯を大きく削ります。ときには、削る量に歯の中の神経が耐えられずに痛みが出たり、ひとりでに死んで(失活)しまって根管治療をしなければいけなくなったりします。
根管治療をした歯は、健康な歯に比べてどうしても寿命が短くなり、抜歯にぐっと近づいてしまいます。
そこで根管治療一つとっても、削る量を抑えて再治療の可能性をできるだけ低くし、歯の寿命を長くするために、精密根管治療を当院では行っております。
歯は一生のパートナーです。その寿命を伸ばすことは、健康で豊かな生活への大きな一歩となります。私たちは、歯科医療から患者さんの健康を支える”味方”でありたいと考えています。
不安や疑問があれば、どうぞお気軽にご相談ください。全力でサポートいたします。
三好歯科 自由が丘 歯科医師 望月
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