【症例】前歯の虫歯に対してダイレクトボンディングで治療
治療内容
前歯の間の虫歯に対してダイレクトボンディングで治療期間
1日(60−90分)治療回数
1回費用
44,000円(税込)治療前の状態・主訴
患者様は30代の女性の方で、知らない間に前歯の裏側が欠けて黒っぽくなっていることに気づき、ご来院されました。
お口の中を拝見すると、前歯の間に虫歯があり、そこが黒く見えていました。患者様のご希望で、ラバーダム防湿でダイレクトボンディングを行うことになりました。
治療詳細
①虫歯の除去
まずは、歯の表面に近い浅層の虫歯を除去しました。このときの正面、横から見た写真がこちらです。
浅層の虫歯を除去した後、う蝕検知液を用いて残った虫歯を完全に除去しました。除去すべき虫歯の部分が青く染まるので、取り残しや削り過ぎを防ぐことができます。
虫歯を完全に取り除いた状態がこちらです。
②コンポジットレジン充填の前準備
様々な道具を用いて隙間なくコンポジットレジンを詰められるように準備しました。
ここにかけた時間、こだわり、丁寧さがコンポジットレジンの長期的な予後に関わります。
③コンポジットレジンの充填
準備が整い、コンポジットレジンの充填に移りました。
ある程度まで詰めたら歯間分離器と呼ばれるものを装着して、余ったコンポジットレジンをトリミングしていきます。
④仕上げ
最後に、酸素遮断剤を塗布してコンポジットレジンを仕上げとします。コンポジットレジンは空気中の酸素と反応して固まりにくくなる性質があるため、ダイレクトボンディングではこの処置を必ず行う必要があります。
治療後の様子
ダイレクトボンディング完了時の正面からみた写真です。
このあとラバーダム防湿を外して、施術完了となります。患者様には大変満足していただけました。
主な副作用・リスク
1.経年劣化が起こる
コンポジットレジンは、時間経過とともに変色や着色が起こります。虫歯と勘違いされることも多いですが、ほとんどが着色や変色による汚れです。充填部分を中心に、黒や茶色の模様がだんだん目立つようになります。この劣化スピードは患者さんのプラークコントロール(歯磨きのクオリティ)に、ある程度依存すると言われています。
2.二次カリエスのリスクがある
二次カリエスとは、虫歯治療を行った歯が、再び虫歯になることを言います。より高い接着技術により、隙間ができないようにコンポジットレジン充填をしますが、年月が経てばどうしても、天然歯と充填物の間に隙間が生じやすくなります。一度でも虫歯治療を行うと、目に見えないほどの隙間(段差)の部分に歯垢(プラーク)がたまり、虫歯になりやすくなってしまいます。
3.脱落や破折が起こる
強い衝撃が加わったり、接着部が劣化したりすると、コンポジットレジンが脱落や破折することがあります。噛み合わせが悪い場合も、同様のことが起きる可能性があります。
4.ダイレクトボンディングが適応できない部位がある
充填する材料がプラスチックなので、噛む力をもろに受ける箇所や、治療する歯の面積が広すぎる場合は、向いていません。基本的には、「小さな虫歯がある部分」「前歯の隙間や欠け」などの治療に適しています。ご自身が適応可能かどうかは、事前に担当の歯科医師とご相談ください。
<虫歯の予防・早期発見のために、定期的な健診を>
今回はダイレクトボンディングの症例をご紹介しました。
ダイレクトボンディングは適応範囲が広行ことに加え、1回で治療が終わるという大きなメリットがあります。
しかし、虫歯が悪化してしまい、広範囲にわたって修復が必要になると、ダイレクトボンディングによる治療は難しくなります。その場合は、インレーやクラウンなど更に大掛かりな治療になってしまいます。
(歯の詰物についてはこちらをご参照ください
歯の詰め物の素材(マテリアル)とそのメリット・デメリット 2021年最新版|ブログ|三好歯科 自由が丘)
ダイレクトボンディングは、歯科治療の中でも歯の温存に特化した治療です。しかし、適応になるような小さな虫歯は、症状に乏しく見た目もわかりにくいことが多いです。患者様がたまたま気づかれて歯科医院にかかれば幸運ですが、自覚症状が出る頃には虫歯が進行してしまっていて、大掛かりな治療が必要になる方も少なくありません。
医療における基本は「予防」と「早期発見・即時処置」です。そのためには、患者様が定期的に検診に通うことが大切です。
この記事が少しでも患者様のためになることを願っています。
三好歯科 自由が丘 歯科医師 望月
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【症例】ダイレクトボンディングによる歯の修復と、コンポジットレジン(CR)修復(保険診療)との違いについて|症例|三好歯科 自由が丘