【症例】他院での検診で見落とされた大きなう蝕(虫歯)に対する精密根管治療
治療内容
抜髄処置期間
2週間治療回数
3回費用
抜髄治療 93,500円(税込)※コア(歯の土台)、被せ物は除く治療前の状態・主訴
【患者様の主訴】
●左上奥が1週間前から温かいものが沁みるようになった
●左上奥は何もしなくてもボーっとする違和感がある
●左上奥歯に食べ物がよく詰まり、歯間ブラシでの清掃も行っているが、なかなか取れない
●他の歯科医院に数ヶ月に一度定期検診で通っているが、左上の歯に違和感がある事を伝えても「ここの歯は問題ありません」とその都度言われていた
●前回、(他院1で)数年前に自費で治療を行ったばかりだが、仮に詰め物を新しくする事で改善されるのか知りたい
●この歯では無いが、以前に詰め物が取れて他院1へ行った際、抜歯と言われ、他院2で抜歯はせずに神経を取りなんとか歯を残す事になった
他院での治療などに不信感があり、まずこの歯がどのような状態なのかを知りたい。治療法の説明を聞き納得してから治療するか否か決定したいというご希望で当院へセカンドオピニオンで来院されました。
治療詳細
【診査診断】
問診
視診
触診
レントゲン撮影
歯髄診査
口腔内写真撮影
インレー・う蝕除去後、う蝕がかなり大きい為に歯髄に達する可能性が高いこと、その際は神経を取る必要があることをご説明しました。
歯髄腔(神経が入っている管)に達し神経を取らざるを得ない場合は、マイクロエンド治療(精密根管治療)をご希望されました。
【治療詳細】
1.処置前(咬合面)
ここからはう蝕は見えません。
2.処置前(舌側面)
インレー下のう窩(虫歯の穴)の深度測定を行う。深度4mmで、う蝕がかなり大きいものと推測できます。
3.インレー除去後
セメントと食さ(白ゴマ)が見えます。※食さとは、口腔内の食べかすや汚れのことです。
4.セメント、食さ除去後
歯肉の下までかなり大きく虫歯になっている事がわかります。
5.上部の切削
う蝕検知液(う蝕を青く染め出す液)を使ってみるとこのように広範囲で青く染まります。
う蝕を切削しう蝕検知液で青く染め出しを行います。これを青く染まらなくなるまで繰り返し行います。
う蝕には細菌が存在する為、徹底的に除去しなければなりません。
時間をかけて丁寧に行うことで、最大限に残せる歯を残します。
この作業には時間がかかり、患者さんへの負担が大きいため休憩を挟みながら処置を進めていきます。
6.う蝕除去後
う蝕検知液で青く染まらなくなりました。
やわらかくなっているう蝕部分が無くなったか専用の器具で確認します。
歯髄腔が見えてしまっています(画像の赤丸箇所)。
歯髄腔が完全に出てしまっている為、根管治療が必要であることがわかります。
根管治療をするにあたり無菌的環境を得る必要がある為、ラバーダムをすることができる様に、
この後、レジンで隔壁[かくへき](人工的な歯の壁)を建てます。
7.隔壁
歯肉からの出血が見られたので、止血してからう蝕により歯を失った部分を補いました。
この工程の精度を高く行えるかが根管治療の成功に繋がる重要なポイントです。
1、 根管内に細菌が入らない様にすること
2、 無菌的環境を作ること
3、 仮封が外れにくくすること
再感染の防止を目的としています。この後、マイクロエンド治療開始します。
8.精密根管治療(動画準備中)
9.根管充填・コア(土台)築造後
充填した所が白くなっています。
治療後の様子
沁みることは無くなり、仮歯を入れたため食さの詰まりも改善できたので、この状態で経過観察に入りました。
主な副作用・リスク
・専門ドクターによるマイクロスコープを用いた精密根管治療は全て自費診療となります。
・専門ドクターによるマイクロスコープを用いた精密根管治療は治療の結果や症状の改善を100%保証するものではありません。
・根管治療特有の偶発症が起こる可能性があります。
・術後、症状が改善しない場合は、抜歯などの外科処置を行うことがあります。
<ご自身の歯科治療に少しでも疑問があれば、理解し納得するまで歯科医師に質問することが大切です>
今回の症例では、大きなう蝕(虫歯)があるにもかかわらず、他院で見落とされていました。患者様の訴えや気になった所をすぐに診査してくれる歯科医院ではなかったと言えます。
精度が高い定期検診や診査を受けること、精度が高い治療を受けることは重要です。しかしどんな結果にも全て理由があるので、一番大切なのは、少しでも疑問があれば、理解・納得できるまで患者様から歯科医師に質問をし、説明を求めることだと思います。
仮に、歯科医師からの説明後、患者様が下記の様に話したり考えたとします。
「素人でよく分からないから、先生の良い様にして欲しいです」
「そうなんだ、よく分からないけど先生がそういうならそうしてください」
「説明で難しい言葉が出てきてよく分からない。でも一生懸命話してくれているしそれでやってもらおうかな」
歯科治療においては、ただ歯科医師任せにして、患者様が自らご自身の治療を選ぶという権利の放棄によって問題がおきる場合があることをお伝えしたいです。
歯科医師や歯科衛生士などの医療従事者は、現状や診査の結果、今後起こり得ること等を話します。
それに対して患者様が行うべきことは、下記の3点です。
- 納得できるまで十分な説明を受ける
- 説明に対して疑問があれば質問をする
- 十分理解し納得したうえで同意(治療の依頼)をする
これはインフォームドコンセント[Informed consent]と言い、世界的に行われているものです。
また、治療法は1つではなく複数あることが多く、その治療それぞれにしっかりとした説明をうけてメリット・デメリットも理解した上で患者様が治療を選択するインフォームドチョイス[Informed Choice]の考え方も大切です。
当院では、患者さんに治療内容の理解をしていただくため、断片的ではありますが治療中の様子を写真・動画撮影し治療終了時にご説明と共にお見せしております。
治療についても複数の選択肢をご用意して、患者様が理解された上で治療を選択いただけるよう、時間をかけてお伝えしています。
ご自身の歯の治療について、ご不安や疑問がある場合は三好歯科 自由が丘にセカンドオピニオンのご相談にいらしてください。
当院の「根管治療」のページも併せてお読みください。
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