【症例】他院での根管治療で違和感と痛みが消えない歯に対する再根管治療
治療内容
再根管治療期間
期間2週間治療回数
3回費用
115,000円(コアまで、補綴除く 税別)治療前の状態・主訴
他院にて左下7番の抜髄治療を行い、根管治療当初から違和感・痛みがあったがそのまま治療は進み、改善のないまま根管充填まで行われた。
次回コア(土台)を建てる治療の前に症状が気になり、セカンドオピニオンで当院を受診されました。
X線所見では明白な根尖病巣は確認できず、根の先にある根尖孔からは根管充填剤の押し出しが確認されました。歯科用CTでも同様の所見以外は見られませんでした。
歯を叩く診査である打診で明白に左下7のみに痛みがあり、根の先に相当する歯肉を押す診査でも左下7相当部にのみ圧痛がありました。
また歯周ポケットの深さは正常の範囲で、出血がある程度でX線所見と合わせて破折が疑われるような所見は現時点では確認されませんでした。
治療詳細
X線所見から樋状根管であり、患者様からのヒアリングでラバーダムが他院では使用されていなかったことを伝えられていたため、根管内のGP除去、入念な洗浄を行いました。
マイクロスコープ下による樋状根管に対しての洗浄の動画をご参照ください
この段階で、他院での根管充填剤の隙間に歯髄の残存が認められ、痛みの原因の1つの可能性が高いと判断。
また既にかなりの範囲の切削があったため、可能な限り余分に削らず、アプローチのために最低限の切削で対応しました。
2回目の治療にて打診での痛みは消失、無意識に当該歯で食事を噛むところまで症状の改善が見られました。
3回目の治療時、ほぼ症状は改善しましたが、若干の違和感があり、他院での根管充填剤の押し出しと根尖孔の破壊など見られたため、根尖を封鎖するためMTAセメントを用いて根管充填を行いました。
またMTAセメントによる殺菌効果の持続にも期待できると判断しました。
マイクロスコープ下での樋状根管に対するMTAセメントによる根管充填の動画をご参照ください
治療後の様子
特に症状がなく経過しているため、仮歯を入れしばらく様子を見ることにしました。
このまま通常の生活で痛みや問題が無ければ最終補綴へ移行予定。
以降も3ヶ月、半年、1年後に経過観察を行います。
主な副作用・リスク
・精密根管治療はすべて実費の治療になります
・根管治療終了後には術後性疼痛がある場合があります
・根管治療が予後不良の場合は歯根端切除術または意図的再植術を行う必要があります
・最低2年間(年1回程)の経過観察を行う必要があります
<根管治療は専門的な知識と技術によるラバーダム防湿法とマイクロスコープの利用が大切です>
今回の症例は『根管治療をしていても全く症状が改善しないまま治療が長期間続いている、もしくは根管治療後に症状が出てしまい、それが改善しない』という典型的なものでした。
このようなお悩みを非常に多くの方からお聞きします。
今回のケースも基本となる『ラバーダム防湿法』を行っておらず、非常にリスクの高い根管治療をなされたものでした。
はっきりと痛みや違和感といった症状があり、根管充填剤が根管外に押し出されていたため、症状の原因が押し出された根管充填剤にある場合、歯根端切除術・意図的再植術などの外科的処置が必須になってくるため患者様の負担も大きくなる懸念がありました。
再根管治療では残存歯質の保存も重要で、多く削れば歯根破折のリスクが高まりますが、全く削らないと治療するためのアプローチが難しくなります。
以上を考慮して慎重に治療を進めました。
再根管治療初回において、他院での根管充填剤を除去している途中に歯髄(神経)の残存がマイクロスコープではっきりと確認できました。
歯髄(神経)を除去した段階で症状にかなりの改善があったため、主な痛みの原因は残存歯髄であったと推測されます。
樋状根管かつマイクロスコープ無しで感覚だけで複雑な根管に対して治療を行ったことにより、このようなエラーが起きてしまったと考えられます。
また、下顎の歯に対してラバーダムなしで根管治療が行われたことにより、かなりの唾液流入と細菌感染が疑われたため、当院の再根管治療にて入念に洗浄を行ったことも症状改善に繋がったと考えます。
マイクロスコープにて根尖孔(根の先にある穴)の破壊も確認できたため、従来の根管充填剤にはない、封鎖能・殺菌に優れたMTAセメントでしっかりと根管充填を行い今回の処置の一区切りとしました。
今後、万が一症状が再発した場合は事前にお話をしていた外科的処置で対応を行う予定です。
三好歯科自由が丘では専門性のある知識と技術をご希望される全ての患者様へ精密根管治療(マイクロエンド)をご提供しています。根管治療でのトラブルやお悩みがある場合は一度ご相談していただければと思います。
三好歯科 自由が丘|診療メニュー|根管治療 をご参照ください
当院では「マイクロエンド相談」を行っています。
診査、診断から専門家としての見解をしっかりお伝えし、患者様のお考えを尊重して最良の治療を進めてまいります。
不要な歯科治療をゼロにする診療
三好歯科 自由が丘 Miyoshi Dental Office
〒158-0083 東京都世田谷区奥沢5丁目25−9 インディペンデンス5F
tel:03-5726-8243
自由が丘の歯医者 歯科|天然歯を残す|マイクロスコープ・歯科用CTなど先端医療機器完備| 精密根管治療|世界基準の滅菌レベル|スウェーデン式予防歯科