根管治療VSインプラントどちらを選ぶべきか?
こんにちは、三好歯科 自由が丘 院長の三好健太郎です。
今回のコラムは
『根管治療で天然歯を残すか?』
『抜歯をしてインプラントをするか?』
という選択肢について私の経験の中でお話したいと思います。
私の今までの経験、様々な患者さんとの関わりを思い返して最初に結論を述べます。
- ●患者さんの経済的事情と生活環境
- ●患者さんのご年齢
- ●患者さんの価値観
これらを考慮して主治医と相談の上決める。ということになります。
我々歯科医師も経験則で語れるところはありますが、未来は完璧には読めないため、
曖昧な表現になりますが、これが答えだと思います。
『根管治療』にするか『インプラント』にするかの選択肢が出てくる条件
まずは『根管治療』にするか『インプラント』にするかの選択肢が出てくる条件についてご説明します。
1,現時点で歯根に明白な破折がない、もしくは破折が小さく保存可能と判断された
2,歯の残存量(残存歯質)がそこまで多くない~かなり少ない
この2つが出揃うと、「根管治療」と「インプラント」どちらを選ぶ?という選択肢が出てきます。
残せる歯でも『抜いてインプラントにすることは可能』ですが、
明らかに残せない歯を『根管治療で保存し、被せものを入れることは不可能』です。
根管治療で歯を残すことはできるが、治療後の破折リスクがある程度高い場合には、
しっかり考えて治療を選択する必要がでてきます。
歯を残すことが難しくなる歯根破折について
次に根管治療などで歯を残す場合に問題になる、歯根破折についてご説明します。
根管治療及び歯の保存において一番の敵は歯根破折です。
これは自分の噛む力によって歯がヒビもしくは完全に割れてしまう現象のことで、日本人の歯を失う原因の第3位に入ってきています。
歯を失う原因
1位 | 歯周病 |
2位 | むし歯(虫歯、カリエス) |
3位 | 歯根破折 |
(公財)8020推進財団
第2回 永久歯の抜歯原因調査報告書 東京: 8020推進財団; 2018.
歯根破折の歯の予後について
歯根破折は、その歯の状態によりますが、下記のように考えられます。
■ヒビ(不完全破折)が見つかった場合
- ●治療しても予後不良になる
- ●予後については不明だが歯の保存自体は可能な場合もある
- ●抜歯となる
■完全な破折があった場合
- ●抜歯となることが多い
また、治療前の時点で歯にヒビが入っていないとしても、根管治療を行ったあと被せもの(クラウン)を入れて噛み始めてから破折が起きる可能性はあります。
再び噛み始めて歯を使っていく中で破折が起きてしまう最も多い原因は、残っている歯の量が少ない(歯質過少)ことです。
薄いペラペラな歯で食事、食いしばり、歯ぎしりをすることを想像してみてください。
歯の治療はどれだけ精密に行っても、治療介入すれば必ず治療前より歯質は少なくなります。
削る量を最低限にするためにマイクロスコープなどを用いますが、それでも歯質は少なくなってしまいます。
~歯を残す(保存する)ということ~ |
一般の患者さんの感覚で歯を残す(保存する)というのは 『被せものまで入れて噛めるようにした上で痛くなく使える』 という認識だと思います。 しかし、我々歯科医師は、『根を残す』と『被せものをいれて問題なく噛めるようにする』は別として考えます。 今回は一般的な患者さんと同じ 『被せものまで入れて噛めるようにした上で痛くなく使える』 を歯を残す(保存する)という認識でお話をすすめます。 |
根管治療で歯を残すメリット・デメリット
それでは、根管治療で歯を残す場合のメリットデメリットについてご説明します。
根管治療で歯を残すメリット
① 自分の歯を残せる
② 歯を失った場合に行う治療(インプラントなど)を先延ばしにできる
上記に尽きると思います。
やはり誰でも自分の歯で食事がしたい、できれば抜きたくない、と考えるのではないでしょうか。
これは普通の価値観だと思います。
しかし②のインプラントを先延ばしにできるというのは少し難しい話です。
基本的にインプラントの予後は下記のとおり、患者さんにより差が出てきます。
- 患者さんの口腔内状況
- インプラント埋入時の骨の状態
- 埋入後の歯磨き・メンテナンスを含めた生活習慣
- 全身疾患(糖尿病など)の有無
また、インプラントは5年生存率97%以上と言われる非常に成功率の高い治療ですが、10年20年先の未来はわかりません。
加齢による肉体の変化は口腔内でも例外ではなく、その未来は誰にもわからないといっても過言ではありません。
そのためインプラント治療は最後の手段として取っておきたいため、少しでも先延ばしにするという考え方があります。
しかし、平均的に若いうちほど骨などのインプラントの予後を決める口腔内状態が良好であることもまた事実です。
先延ばしにし続け、いよいよお年を召してからインプラントとなった時に、口腔内がインプラントを打てる状態に無いような患者さんもいらっしゃいます。
インプラント治療を先延ばしにすることは、人によってはメリットにもなるしデメリットにもなり得るということです。
根管治療で歯を残すデメリット
① 歯を残せたとしても、歯根破折により想定より早く歯を抜かなくてはいけなくなることがある
② 天然歯を残すため、治療期間と費用が別にかかる
③ いざ抜歯になった際、インプラントが打てない、もしくは打てても状況が悪く予後不良となってしまう可能性がある
デメリットは主に①②です。③はメリットと表裏一体のためそこまで大きなデメリットにはなりません。
患者さん本人だけでなく、我々歯科医師が最も残念な結末は
『一生懸命根管治療を行い、期間と費用をかけて残したのに思ったより早く破折が起きて歯を抜かなくてはいけなくなること』です。
早ければ治療終了後1年以内にそれが起きる可能性もあります。
繰り返しになりますが、誰にも未来は分かりません。
もし確率的に破折のリスクが高い場合は、そのように説明いたしますが、最後に選択をするのは患者さんです。
言い換えれば
『破折をしないという未来にかけて、確率への投資を行うか否か』
を検討する必要があるということです。
根管治療は天然歯を保存するための最後の砦です。
その段階に来たら、患者さんの誰しもがしっかり考える必要があり、我々歯科医師はその答えを出すための選択肢や利点欠点をご説明するに過ぎません。
根管治療を行わず、インプラント治療を行うメリット・デメリット
根管治療を行わず、インプラント治療を行うメリット
① 状態にもよるが5年生存率97%以上のため、よほど管理などが疎かでない限り近い未来に問題が出てしまうことは少ない
② 期間と費用がインプラントの費用のみとなり、当然ながら根管治療とその後のインプラント治療の両方を行うより結果的に期間と費用が少なくなる
根管治療を行わず、インプラント治療を行うデメリット
① 自分の歯ではなくなる
② 加齢変化、自己管理やメンテナンスなどによってはどこかでトラブルが出てくる可能性がある
③ インプラントがダメになった場合、状態によるが同じ場所に同じようにインプラントができないことがある
『根管治療』で歯を残すか『インプラント』にするか、患者さんのより良い選択のために
根管治療(歯の保存)かインプラントか、究極の選択ではありますが、私はこの状況の患者さんと出会うことは少なくありません。
当院のように根管治療を専門とする歯科医師と、インプラントを専門とする歯科医師が存在している医院の強みは、両方の視点から偏りなく患者さんにご説明できることです。
歯科医院も数多くあり、様々な分野に長けた先生がおりますが、誰しも得意分野の治療に偏ることはあります。
このコラムをお読みになり、根管治療で歯を残すか、抜歯をしてインプラントにするか、ご自身の治療の選択に不安がある方は一度ご連絡ください。
より良い選択をしていただけるよう、しっかり検査を行い丁寧にお話させていただきます。
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