『歯を残す』と『歯を治す』は違う?歯科で一番大切なこと
こんにちは、三好歯科 自由が丘 副院長の三好瑠璃子です。
今回のコラムのテーマは『歯を残す・歯を治す』です。
歯を残せる・治せる条件などをお伝えすることで、皆さんの歯に対する理解を深められたらと思っております。
よくある患者さんの主訴を列挙すると…
どうしても歯を残したい!
歯を徹底的に治したい!
歯を削りたくない!
絶対に歯を抜きたくない!
インプラントはしたくない!
などが挙げられます。『抜歯をせずに、自分の歯で生活したい』これが、多くの方のご希望です。当然ですが、好き好んで抜歯したい人は、あまりいらっしゃらないと思います。
〜〜〜『歯を残すこと』と『歯を治すこと』は違う〜〜〜
どちらの言葉も同じように聞こえますが、実は全く異なります。この違いの認識は重要ですので、是非よくお読みいただきたいです。
『歯を残すこと』の目的…歯がどんな状態でも抜かないこと
例えば、次の6つのようなケースと対応が挙げられます。
- ① 大きな虫歯があり歯の頭(上部)が無くなって治療不可だが、抜かずにそのままにしておく。
- ② 歯が割れて真っ二つになっているが、抜かずにそのままにしておく。
- ③ 重度の歯周病で歯がぐらぐらと揺れて膿んでおり、歯科医師に抜歯を宣告されたが、自然に抜けるまでそのままにしておく。
- ④ 残っている歯が薄く、治療すると抜歯になる可能性が高いので、治療せずそのまま様子をみる。
- ⑤ たまに歯に痛みがありヒビも入っているが、抜歯になる可能性があるので、治療せず、そのまま何もしない。
- ⑥ 過去に膿んでいたものの今は膿んでいない歯がある。定期的な歯のクリーニングで様子をみて、もし将来不具合が出たら、その時に対応を考える。
上記を読んで「そんなことするの!?」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、実際にこういった選択をされる方も、もちろんいらっしゃいます。
歯を残すことのメリット :歯を残せる(歯として機能しない場合も含む)。
歯を残すことのデメリット:痛みや違和感の改善が望めない。
『歯を治すこと』の目的…現在の痛みや違和感の原因を除去して改善することと、将来生じる可能性が高い、痛みや腫れの原因を取り除くいておくこと
先ほどの『歯を残すこと』で挙げたケースでは、次のような対応になります。
- ① 大きな虫歯があり、痛みがあって神経を取る可能性もあるが、虫歯の処置をする。
- ② 歯が割れて真っ二つになっている。痛みも腫れもないが、将来痛まないように抜いておく。
- ③ 重度の歯周病で歯がぐらぐらと揺れて膿んでおり、歯科医師に抜歯を宣告されたので、この歯を抜いて歯肉の腫れを引かせた。
- ④ 残っている歯が薄く、治療すると抜歯になる可能性もあるが、不安を残したくないので、治療をする。
- ⑤ たまに歯に痛みがあり、ヒビも入っている。痛みの原因であるヒビにより、歯が本来のように機能しないので抜歯した。
- ⑥ 定期的に膿んでいる歯があり、ずっと違和感があるので歯周外科処置をした。
歯を治すことのメリット :痛みや違和感の改善が望める。
歯を治すことのデメリット:治療開始後「歯を残せない」という判断になり、抜歯する可能性がある。
以上のように、『歯を残すこと』と『歯を治すこと』の違いをよく理解することが大事です。
しかし、この2つの選択肢だと『歯を治すこと』の方が、よく見えるかもしれません。例えば、ほぼ痛くないorちょっと痛い程度の歯があり、歯科医師の診療を受けたところ「実は状態が悪く、抜歯かもしれません」と診断されたら、皆さんは『残す』と『治す』どちらを選択するでしょうか?
将来の歯の状態悪化や周囲組織への悪影響を考えて早めに治療するも一つ、そこまで困っていないから、痛みが限界になるまで粘るも一つ。
明らかに治療をした方が良いケースもあれば、状況次第で歯を残せることもありますが、最終的には、患者さん個人の価値観でどちらを選択するかが決まります。
一番大切なのは『自身の歯の現状を知る』ことだと思います。
「たいして痛くないから」という理由で、自己判断で歯科を受診せず放置した結果、歯がどうにもならなくなってしまう方も多いです。その状態から、『よく噛める』『見た目が綺麗』など、健康な状態にするには、時間も治療費も膨大にかかります。
そして、歯科治療はいくら投資をしても『再生ではなく修復』に過ぎません。二度と、昔の状態には戻らないのです。
ご自身の歯の状況だけは、必ず把握しておきましょう。
+αですが…
歯を削るとき、歯を削らないときの違いに関してもお伝えしておきます。
〜〜〜『歯を削るべき時』と『歯を削らない時』の判断〜〜〜
歯を削るか否かは、その時の歯の状況にもよりますし、患者さん個人の価値観でも決まります。一概には言いきれませんが、歯を削るか否かの、私の判断をご説明します。
『歯を削るべき時』
①虫歯が急速に大きくなっているとき
②C3(重度)以上の虫歯があるとき
③C2(軽度)以上の虫歯が、歯磨きができない場所にあるとき
④歯と補綴物の間に隙間や虫歯があるとき
⑤補綴物が不適合(明らかに合っていない)のとき
『歯を削らない時』
①虫歯が緩慢に大きくなっているとき
②C0、C1(経過観察)の虫歯があるとき
③C2(軽度)の虫歯があるが、歯磨きできる場所にあって様子をみたいとき
④補綴物自体の、軽度な劣化だけの場合
ここでも一番大切なのは『自身の歯の現状を知る』ことだと思います。
間違った自己判断により歯を治療するタイミングを逃さないように、歯科医院で定期的に歯のメンテナンスをしたり、歯の状態をチェックし続けてもらったりすることが大切です。
三好歯科 自由が丘では、歯のクリーニングをはじめとした正しい口腔ケアと丁寧な診療で、みなさんの歯を守ります。歯についてお悩みの方はぜひ一度、三好歯科 自由が丘にご相談ください。
三好歯科 自由が丘 副院長 三好 瑠璃子
併せてこちらもご覧ください。
三好歯科 自由が丘|ブログ|抜歯か、保存か 〜抜歯の原因と歯科医師最大の難問について〜
三好歯科 自由が丘|予防歯科・歯のクリーニング