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審美歯科の治療の流れとポイント〜クオリティの高い被せものを入れるには?〜

審美歯科の治療の流れとポイント〜クオリティの高い被せものを入れるには?〜

こんにちは、「三好歯科 自由が丘」院長の三好健太郎です。
2020年12月1日にリニューアルオープンをしてから、最初のコラムになります。

突然ですが、皆様はご自身の歯に「被せもの」は入っていますか?被せものは別名「クラウン」といい、「補綴(ほてつ)物」のひとつです。まず下の写真を御覧ください。

三好歯科 自由が丘_審美歯科の流れとポイント_審美歯科治療後の画像
※患者様に掲載許可を頂いております。

当院で被せものをした患者様ですが、どの歯に被せものをしたか分かりますか?
自分で言うのも何ですが、この写真だけ見たら正直私でも分かりません。それほど、審美歯科の技術は近年上がっています。
歯の審美性は患者様の人生に大きく関わるものなで、三好歯科 自由が丘でもかなり力を入れて診療しております。

 

さて、先ほどの解答です。

三好歯科 自由が丘_審美歯科の流れとポイント_被せものを入れる前の画像

答えは、右上の一番前の歯(右上1番)です。
この被せもの(クラウン)は、当院が連携している歯科技工士さんに、ジルコニア(陶材築盛)で作製していただきました。当院では便宜的に「ジルコニアセラミック」と呼んでおります。※自費診療

さて、このジルコニアセラミックはとても綺麗な被せものですが、被せものの質は歯科医師や歯科技工士の腕で決まる……と思っている方も多いのではないでしょうか?

 

答えはNoです。

 

歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、歯科技工士の連携はもちろん必要ですが、それと同等に“患者様ご自身の努力”が重要です。

この写真の方は、もともと歯に対する意識が高く歯磨きをきちんとされますし、当院の歯科指導をしっかり守ってくださる患者様でした。

しかし、残っている歯の量がかなり少なく外科的な根管治療も行っており、この右上1番の歯だけ見ると、高い審美性の実現がかなり難しいケースでした。もちろん、今後も歯根破折などトラブルが起きる可能性は否定できません。

そこで今回は、「クオリティの高い被せものを入れるには?」「被せものを長く使うには?」という観点からコラムを書いていきます。

 

 

審美歯科の治療の流れと、抑えておきたいポイント

 

1,初回受診・診査と診断

まずは、歯がどのような状態なのか診査・診断をしないと始まりません。被せものを入れるということは、例えば次の状態に該当しているということです。
・1本の歯に広範囲にわたって虫歯がある
・根管治療が必要な歯がある
・元々被せものが入っている歯の再治療が必要である など

 

2、カウンセリング、口腔内全体の資料取り、治療計画

・この歯はどのように治すのか?
・治療期間はどれくらいかかるのか?
・治療方法の選択肢は?
・治療費はどれくらいかかるのか?

このようなことをご説明しますので、どう治療を進めるか患者様にも検討していただきます。なお、審美歯科は基本的に自費診療です。

 

3,歯の周り(歯周組織)の検査・クリーニング、治療

続いて、歯の治療と歯周組織の検査・クリーニングを同時進行で進めます。
「歯周組織には何も異常がないはずなのに、なぜ……?」と思う方もいるかも知れません。しかし歯周組織のケア、そして患者様の歯磨き状況の改善こそ、綺麗でクオリティの高い被せものを入れるためのひとつのカギとなります。

裏を返すと、この工程をきちんと行わないと歯肉の炎症が消えず、いつまでも被せものの型取りできなかったり、強引な型取りから出血して被せものの精度が落ちたりする可能性が高いです。

 

4,仮歯へ変えて型取りへの準備をすすめる

 治療がある程度終わると仮歯に変えます。この段階で、被せものの大体の形(場合によっては完全な形)の判断や、噛み合わせ等を見ていきます。

しかし率直に申し上げて仮歯は取れますし、壊れやすいです。見た目も白いですが天然歯と微妙に色が違います。そういった点で仮歯はあまり快適ではないので、患者様にとってはストレスです。もちろん、できるだけ取れないように作りますが、どのくらい持つかは患者様の状態によりけりです。

早く最終的な被せものにしたいと思う方がほとんどでしょう。しかし、この仮歯期間中に行う最終準備が、実は一番大切なのです。

仮歯期間中に行うべきこと
・根管治療後の経過観察
・神経が生きている歯を削った後の経過観察
・噛み合わせの確認
・仮歯の破損、脱離の程度の確認
・型取りに備えて天然歯の形を最終形態に整える

他にも、当該の歯以外に次の処置を行います。(歯科衛生士さんが主導)
・歯周組織を安定させる、形を確認
・ご希望であればホワイトニング(ホワイトニングをするならこのタイミングです)

歯肉の状況によっては被せものの型取りができない、できてもクオリティが下がる可能性が高いため、歯周組織のケアは重要です。

また、被せものの色は他の歯の色に合わせて作ることが多いのですが、ジルコニア(陶材)などは基本的に変色しません。(保険診療が適用できる素材の場合は1~2年で色が変わります)。そのため、当院ではこのタイミングで必ず患者様にホワイトニング実施の有無を確認します。被せものを入れた後にホワイトニングで色を合わせるのは難しいので、先に行うことを推奨します。

ちなみに冒頭で紹介した写真の患者様は、このタイミングでホワイトニングを5回行いました。

 

5、歯科技工士立ち合いによるシェードテイキング、型取り

経過観察で特に問題が見られずホワイトニング等も完了したら、いよいよ被せものの型取りです。まず歯科技工士立ち合いのもと、シェードテイキング(色と形を決めるための撮影)と、患者様からの最終ヒアリングでご希望等をお聞きします。

このシェードテイキングはタイミングが非常に重要です。
「大きく口を開けたまま15分以上経過すると、歯は乾燥して色が微妙に変わり24時間は戻らない」
と言われているため型取りの麻酔をする前、一番初めに行います。

三好歯科 自由が丘_審美歯科の流れとポイント_シェードテイキングの様子
シェードテイキングの様子

シェードテイキングとヒアリングが終わったら麻酔をかけて、歯科助手とも連携をとって型取りをします。型取りの材料は、患者様の状態に応じて適宜変えます。3Dスキャナーを用いることもありますが、現時点でこれが一番というものはありません。

型取りを無事に終えたら、歯科技工士さんの作業です。担当していただいた歯科技工士さんのご厚意で、制作過程の写真を頂いたのでご覧ください。

三好歯科 自由が丘_審美歯科の流れとポイント_歯科技工士による作製過程 
担当歯科技工士:D.D.LABO 北薗 里佐

 

6、被せもののセット

さて、ついに最後の山場です。被せもののセットは歯科医師も歯科技工士も緊張します。もしここでトラブルが発覚すれば、型取りからやり直しです。たまに「出来上がってきた被せものが合わない」というトラブルが起きます。その原因は歯科医師や歯科技工士に起因する可能性もありますが、先に述べたように、歯周組織の状態が悪いと発生確率が上がります。

ちなみに今回の症例では、適合に全く問題はありませんでした。

三好歯科 自由が丘_審美歯科の流れとポイント_被せものを入れる前の画像

三好歯科 自由が丘_審美歯科の流れとポイント_審美歯科治療後の画像

 

さて、ここで最初の写真に戻ります。

全く問題ないと思われましたが、患者様から「被せものの白濁が気になる」とのご要望があり、最終的には白濁をとってセットしました。

三好歯科 自由が丘_審美歯科の流れとポイント_治療後の口腔内画像

三好歯科 自由が丘_審美歯科の流れとポイント_治療後の口腔内画像アイコン後

「左上1番(反対側の前歯)の自分の白濁も気になりだした」とのことだったので、少しイレギュラーですがこのタイミングで白濁(ホワイトスポット)の治療として「アイコン」というレジンを使用する予定です(自費診療)。

 

 

審美治療は時間を惜しまず、しっかり手間をかけることが近道

 

いかがでしたでしょうか?
たった1本の被せものでも、歯科技工士など様々な人が関わり、患者様ご自身にもご協力いただいたり色々なことを一緒に検討したりという上で完成していく様子がご理解いただけたと思います。

今回の症例の場合、根管治療やホワイトニングもあったので治療期間は4ヶ月以上かかりました。今後もメンテナンスが必須ですし、元々歯質の残存が少ないため歯根破折が起きてしまう可能性も否定できません。人の体とはそういうものです。

つまり、状態によっては治療にしっかり時間をかけなければならないこともあるのです。間違いなく言えるのは、「かけるべき時間を省略すれば、必ず歯にガタがくる」ということです。

歯の治療は“再生”ではなく“修復”がほとんどです。元通りになっているのではなく、元通りに見えるようにしているだけなので、同じ治療をしたら同じ結果が得られるというものではありません。治療は繰り返せばいずれ抜歯に至ります。

巷には「歯の1dayトリートメント」を謳う歯科医院もあります。事情は人それぞれですが、これは患者様の「早く治したい(歯医者に何回も行きたくない)」というニーズが高まりすぎた1つの結果だと思います。

1dayトリートメントに関しては様々な意見があるかと思いますが、私は上記で述べた理由に加えて、今までの経験から「責任のある治療」「上辺だけではないクオリティの高い治療」を行うには、1dayでは不可能だと考えております。

 

質の高い審美治療は信頼の上に成り立つ

歯科医院と患者様の関係は人と人です。
やはり相性がありますし、逆に言えば患者様ご自身でも歯について、治療についてしっかり考えて相談していただき、お互いに信頼関係を構築していくのが基本だと考えております。信頼無くして治療はありません

今回は被せものの話でしたが、ぜひ一度、歯科医院との向き合い方も考えてみてください。また、審美歯科や被せものなどでお悩みの方は当院へご予約の上ご相談ください。

最近、電話だけではお答えしにくい質問が大変多く寄せられています。必ずご予約の上、歯科医師と対面にてお話をさせていただきたいので、宜しくお願いいたします。

 

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