日本の歯科の健康保険制度と保険診療と自費診療の考え方
こんにちは。
三好歯科 自由が丘 院長の三好健太郎です。
今回のコラムは、日本の歯科における保険制度と歯科医院における保険診療と自費診療についてです。
以前のコラム『歯のクリーニングのために歯医者に通うメリット』で少し触れましたが、さらに掘り下げてお伝えしたいと思います。
歯科治療における保険診療と自費診療
日本では『国民皆保険制度』により、国民は皆何かしらの健康保険に加入しています。
歯科に関わらず病気になったときは、この健康保険を使って比較的安価に診療を受けることができ、国民にとってはとても助かる制度です。
もちろん、そのために安くはない健康保険料を毎月支払っているわけですが・・・。
皆さんは歯科における保険診療と自費診療について、どのようなイメージを持っておられるでしょうか。
・保険診療は安いけど自費診療は高い
・歯の詰め物や被せ物は、保険診療は金属で自費診療は白いセラミック
このように感じておられる方が非常に多いです。
そして、ほとんどの方が保険診療と自費診療の違いを詳しくはご存知ありません。
そのため、歯医者に来られる患者様は、歯科治療は選ばなければ保険診療で安くできると何となく考えている方が多くなっています。
ここでの明らかな問題は『歯科治療が前提になっている』ということです。
これまで何度もお伝えしている通り『何かあったら歯医者へ行く(治療前提)という考え』は間違っています。
治療前提の考えは、言い換えると
『生まれ持った限りある資産(天然歯)を減らし(削り)、治療のために多くのお金をかけなくてはいけなくなる』という事です。
なぜ日本人は『治療前提』の誤った考え方になってしまうのか
このコラムの本題は、多くの方が『治療前提』の誤った考え方になってしまうのはある意味『仕方がないこと』であるというお話です。
実は、健康保険で受けられる項目は、ほぼ治療しかないからです。例えば日本の健康保険では、予防に大切な歯のクリーニングの項目は存在しておりません。
しかし、皆様の中には、保険内でクリーニングや定期健診をされた方もおられるのではないでしょうか。
これは、我々歯科医師が『歯周病の初期治療』という名目で何とか最低限の歯のクリーニングなどを行っているからです。
歯科における保険診療の問題とそのひずみ
皆様は歯医者でクリーニングを行う時に、こんな経験はありませんか?
- 次回は必ず2~3ヶ月以上あけてくださいと言われた
- 1回で全てのクリーニングはできないので2回に分けますと言われた
- 着色(ステイン)を保険で取ってくれる医院もあれば、取るなら自費で別にお金がかかると言われた。もしくは着色は取らないと言われた。
これらには、歯科の保険診療の事情が関わっています。それぞれご説明します。
◎ 1.について_なぜ歯のクリーニングは次回まで一定期間あけるのか?
実は、日本の歯科には『保険内で健康な人が受ける定期健診』がそもそも存在していません。
我々歯科医院側が患者様の負担を減らそうと『歯周病の初期治療』という名目で国から医療費の援助をもらえる状況にして何とか大切である歯のクリーニングをやっているというのが現状です。
初期治療を短期間で何度も行うのは通常ありえないため、必ず一定の期間をあけなくてはなりません。
もちろん、このような保険適用にするための調整は厳密にはアウトです。
歯科医院側は国から怒られます。
地域によって判定基準が微妙に違ったり、明確な答えもないため、歯科医院側も手探りで期間を変えたりします。
最近都内では。4~6ヶ月開けないといけないという話も出てきています。
しかし、どれだけ期間を開けようと、歯のクリーニングは現状の保険制度では本来保険適用にならないのです。
◎2.について_なぜクリーニングを2回に分けるのか
これは保険診療で決まっているルールです。
歯周病の初期治療において、一度に全ての歯のクリーニングは非推奨です。
一度に全部やってお金をその分請求すると国から怒られます。
2回に分けないでクリーニングを行っている医院が多いですが、恐らく料金は全ての歯の分を請求していないでしょう。
◎3.について_着色を取るなら自費になるのか
これは保険の範囲から逸脱しているので自費が正しいです。
保険はあくまで治療であり、病名がついていることが必須です。
審美に関わることは基本的に自費となります。
歯科における保険診療に「予防の概念がないこと」の問題
歯科における保険診療に『予防という概念が存在せず、ほぼ治療しか項目にない』
これは大きな問題です。
世界中で予防歯科の重要性が認識され、日本でも「予防」という言葉が多くのメディアで発信されているにもかかわらず、日本で予防歯科に取り組もうとしたら保険は効かないという事実があります。
日本の歯医者では昔から、
『歯科医院が各々の判断で保険制度が適用でないことをサービスとしてやってしまう』ことが常態化しています。
これは患者様の為にそれぞれの歯科医院が行ってきていることで、ある意味仕方がないことかもしれませんが、誤った認識を患者様に与えてしまうため、他の医院へ行った時の違いで戸惑ってしまうことになります。
場合によってはトラブルになる可能性があり、非常に繊細な問題です。
日本の歯科の保険制度は予防の概念がほぼないため、歯医者では治療に来た方を最低限の材料をもって安価で治療するスタンスになっています。
歯科医院側もこの保険制度には非常に振り回されますし、何より予防の概念がないので非常に困ります。
そのため自費しかやらないという選択をする医院がどんどん増えています。
自費ならば保険診療のルールに従う必要がないため、予防にしても治療にしても患者様のために良い材料を使用し、良い方法での治療が可能になります。
しかし、患者様のお金の負担は保険診療に比べて大きくなります。
予防歯科の重要性と自費診療について
日本の健康保険制度に慣れていると歯医者で高額の治療費がかかることに戸惑う患者様がほとんどです。
しかし、歯科医師としてお伝えしたいのは、
『予防歯科には投資をすべき』ということです。
歯の治療になればその治療費は予防歯科の比ではありません。そもそも治療にならないよう良好な口腔内を維持することが大切であることはお分かりいただけると思います。
もちろん、最低限の歯科治療で構わない、保険の治療しかやらないから関係ないという方もおられると思いますが、それでも予防は必ず行っておくべきです。
歯を失ってから、噛めることのありがたさに気づき後悔をされる方は非常に多いです。
そして、いざ悪くなった歯を口腔内の治療をしなければならなくなったら、元の状態のように噛めて、より審美的で、医学的にもきっちりした医療を求める方がほとんどです。
つまり、自費の治療の領域を望まれる方がほとんどです。
では、保険診療では元のように噛めない、審美的にもよくない、医学的にもきっちりしていないの?
という意見が出てくると思いますが、すべてではありませんが概ね否定しません。
例えば、根管治療(歯の根の治療、神経の治療)でのラバーダム防湿の使用などは典型的で、保険診療ならば実施している医院は日本全体の約5.4%(2011年データ)と数字が出ております。
ラバーダム防湿自体は「根管治療についてのコラム」にも記載はしていますが、根管治療の専門医の意見では『ラバーダムをしないなら感染を拡げるだけだから治療をしないでほしい』と言われるほど重要なものです。
小さな処置であれば保険で全く問題ないこともありますが、大きな治療になればなるほどその差は歴然です。
このような事実を歯科医院側が発信することはまれかと思いますが、三好歯科 自由が丘では歯科医療全般に関する正しい知識をお伝えしたいと考えております。
もちろん、私の意見が全てではありませので、そこはご了承ください。
三好歯科 自由が丘での保険診療と自費診療
三好歯科 自由が丘では、保険診療の範囲でも根管治療の際にはラバーダム防湿実施はもちろん、適切な環境でしか治療は致しません。
状態によってはそもそも保険で対応できないこともあります。そして基本的には根管治療専門の副院長による自費診療の根管治療を推奨しております。
予防歯科を重要視する当院では、歯のクリーニングに関しても上記の記載の通り保険を適用させていただくご用意はありますが、国からの指摘によっては今後できなくなる可能性もあります。
三好歯科 自由が丘での歯のクリーニングは『歯や被せ物、インプラントなどに可能な限り傷をつけないGBTコンセプトに基づいたエアフロークリーニング』を推奨しております。
こちらは自費診療となります。気になる方はお問い合わせください。
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