お知らせ・ブログ・症例

抜歯か、保存か ~抜歯の原因と歯科医師最大の難問について~

抜歯か、保存か ~抜歯の原因と歯科医師最大の難問について~

こんにちは。三好歯科 自由が丘 院長の三好健太郎です。

今回は表題の通り
『歯を抜かなくてはいけないのか?もしくは保存できるのか?』
という、歯医者さんの世界でも明白な解答が出にくい、意見の割れやすい話題についてふれていきたいと思います。

『歯を残せる』が正義で『歯を抜く』は悪?

前提として、100人の歯科医師がいたら100人が『抜歯です』という状況の方への話ではありません。
自分自身ではその状況がわからない、かつ、歯を残したいと考えている場合は当院を含む近隣の歯医者さんを数軒まわって、診断を聞いてみるとよいかもしれません。

このお話しは患者様にとっても非常に身近な話題で、トラブルになることも多いのが現状です。
『抜かなくても良い歯を抜かれそうになった』
『他院で抜かないといけないと言われた歯を別の医院では残すことが出来た。抜こうとした先生はヤブ医者だ』
という内容の口コミなどをよく見かけます。

当たり前といえばそれまでですが、患者様からみると
『歯を残せる』という事実は正義であり
『歯を抜く』という事実は悪となっている。
ということが口コミや当院来院患者様からの意見であらためて理解できます。

歯科の世界において『歯を抜く(抜歯)』=『歯の死』を意味します。
たまに
『歯の神経を取る』=『歯の死』と考えている患者様や、歯科医師側もそのように説明する事もございますが、『歯の神経をとっても歯は根管治療後にそのまま被せものをして使っていく』ため、私の考えとしては
『歯の神経をとる』≠『歯の死』として話を進めていきます。

 

歯を抜くこと(抜歯)になってしまう原因

歯を抜くこと(抜歯)になってしまう原因はなんでしょうか?
インターネット等で検索すればたくさん出てきますが、下記は厚生労働省のe-ヘルスネットの情報です。

  • 1位 歯周病       37.1%

  • 2位 う蝕(虫歯)    29.2%

  • 3位 破折(主に歯根破折) 17.8%

  • 4位 その他(矯正治療における便宜抜歯、親知らず等)15.9%

    三好歯科 自由が丘歯科医師コラム|抜歯の原因のグラフ

 

 

4位は通常の疾患での抜歯とは違うので1~3位についてお話をします。

 

歯を失う原因1位の歯周病について

歯周病は成人の方の多くが罹患していると言われる生活習慣病です。
世の中で最も流行った感染症とも言われます。

歯茎(歯肉)の炎症から始まりちょっと出血がある人から、その下の顎の骨(歯槽骨)が溶けてなくなり、歯がグラグラで今にも抜けてしまいそうな人まで全てを歯周病としております。

歯槽膿漏という単語がありますが、一昔前に正式な言葉ではないとされています。一部市販の商品にはいまだに「歯槽膿漏に~」という記載もありますが、今では歯周病に統一されており使わない言葉です。

歯周病が抜歯の原因1位になる理由

歯周病が抜歯の原因1位になる理由は
『進行するまでたいして痛みが出ないことが多く気づきにくい』
『基本的に一度で多数歯にわたり進行するので、話が大きくなりやすい』
『虫歯と違い失うものが骨なので、人工物で代替が効かず例外を除き回復もしない』
という理由が考えられます。

そして私が個人的に強く感じるのは、
『歯周病の細菌が活動しやすい方(進行しやすい方)は、例外もありますが、虫歯が少ない方のことが多く、歯医者さんに通ったり歯に困ったりしたことが無い方が多い』
ということです。
歯周病の原因を見ると『痛くなるまで歯医者に行かない』という日本人の良くない傾向が完全に裏目に出ていると思います。

歯周病で歯を失った場合、骨が少なくなっているため、抜歯後の義歯やインプラント、ブリッジにも不利になることが多く、後の治療にも苦労する最悪の疾患だと思います。

『抜歯か保存か』歯周病との関係

先ほど申し上げたとおり、歯周病の場合、歯の周りの骨に問題が起きており、歯自体はキレイで虫歯もない事が多いです。
教科書的には動揺度(歯のぐらつき具合)というものが0~3度まであり、
3は確実に抜歯、2では保存、状況によって抜歯などが書かれております。

しかし、実際の臨床の場で出会う患者様の歯は、簡単に分類できるものばかりではありません。
動揺度も結局は視診に依るところが大きいため、歯科医師によってズレも出ます。
わかりやすく言うなら『結構揺れてるけど、まだいけるのでは?どうなのだろう?』
という疑問が専門家の中でも迷いとして生じるということです。

抜歯を選択する場合の理由

しかし、現時点で多くの歯は抜歯の診断が出て未定歯は少数、そして抜いたところはインプラントで治すとなったときは、少ない未定歯を現時点で抜歯するという判断を下すことも多いです。
理由は
『全身疾患との絡み』
『残っている歯の歯周病の進行が食い止められなかった際のインプラントへの影響リスク』
『残している歯(病気の歯)に少なからずインプラントの設計が引っ張られることになる』
『結局残せず抜いてインプラントを追加する事になった際、経済的負担が先に抜いて置いた場合より高くなることが多い(例外はあります)』
などが考えられます。

つまり、担当した歯科医師の専門分野や経験則、患者様の治療希望内容によって
『抜いたほうが患者様のためになる事がある』というケースが少なからず発生してきます。
この場合、医院や歯科医師の方針によっては抜くことを前提とした治療計画しか話さない場合もあります。
しっかり希望を伝えた上で担当の歯科医師とよく相談しておかないと後からトラブルになり、冒頭で述べたトラブルや悪い口コミを書くなどに繋がってしまう事になります。

歯を失う理由2位のう蝕(虫歯)、3位の歯根破折

この2つは関連が強いため同時に話します。

う蝕も教科書的にはC0~C4まで虫歯の大きさによって分類されており、C4(根しか残っていない)場合は抜歯と書かれております。しかし、根の長さによっては根管治療や矯正、骨整形などの技術によっては残せることもあります。
治療の制限等から『保険診療なら抜歯、自費診療ならトライできる』と言われることも少なくは無いと思います。

ここで大切なのはあくまで『残すことをトライする、トライできる』というニュアンスということを覚えていただけたらと思います。
人間の身体でいう『先進医療を含めてやれるだけのことはやる』というスタンスです。

う蝕の場合、歯周病が併発かつ進行していなければ歯を支える骨はしっかりしていることが多いため、あとは3位の歯根破折が起きるか否かとの戦いとなります。
保存(根管治療等)を試みる前から『歯が少なすぎる』『歯根が短すぎて予後が明らかに悪い』などが明白に分かる場合は、治療せずに抜歯を推奨しますが、『やってみないとわからない』という状況の歯は臨床の現場では非常に多いです。

目標は、歯が保存できて、その歯が長期的に痛みやトラブルも出ず、食事も行えること

目標は、歯が保存できて、その歯が長期的に痛みやトラブルも出ず、食事も行えることですが、
残念ながら
『治療を始めてみたら歯にヒビが見つかった、もしくは完全に割れていた』
『治療完了までいったが、噛み合わせの力で歯の根が割れてしまった(歯根破折)』
『噛むと痛い、根管治療は適切に行なったが病巣が改善せず、定期的に痛む』
など、予定通りにはいかないこともあります。
特に歯根破折は『いつ、どれくらいの確率で、どのくらいの残存歯質だと起きてしまうのか』が不明です。
「わからない」といって差し支えないと思います。
『残せると言って治療した歯が、すぐに歯根破折を起こして抜歯となってしまう』
というケースも残念ながら存在します。

そして、そのような難しい歯の保存のための治療が自費診療となる事が多いため、きちんとした意思疎通やゴールを見据えていないとトラブルになることがあるのです。

抜歯後のインプラントについて

抜歯後の治療でもインプラントなど高額な治療も多いため、『初めから抜歯という説明のみを行う』医院も少なからず存在します。

歯科医師側もトラブルになりたくないため、初めから抜く方向で話を進めたほうが安心というパターンも存在します。
これが医院や歯科医師ごとに『診断や話が異なる』要因です。

今から10年~20年前は上記の疑わしい歯は全て
『抜歯してインプラント』が全盛の時代でした。
「全部抜いてインプラントにしてしまうの?それは怖い、ひどい・・・」
などの声が聞こえてきそうですが、上記の『結果として保存を選択したことで変なトラブルが起きてしまうリスク』を考えると理にかなっているとも思います。
マイクロスコープの歯科医院への普及率は現在でも10%もありませんが、当時は更に少なかったはずです。
また、インプラントを打てる歯科医師は多く存在しても、根管治療を精密に行える歯科医師は比較すると現在でもかなり少ないです。
これが『抜歯してインプラント』に拍車をかけていた要因の1つだと思います。

三好歯科 自由が丘はクリーニングやメンテナンスを重視

歯周病もう蝕も生活習慣病です。2型糖尿病が食生活習慣を変えないと良くならないのと同じで、インプラントで手早く回復した口腔内も、歯みがき等の習慣を改善しなければ歯周病が進行してしまいます。そのため、インプラントにトラブルを抱えている人が多く存在していることもまた事実です。

三好歯科 自由が丘では、歯周病治療は根本的な習慣から改善をしていただけるよう、指導をさせていただきます。
たまに来院してクリーニング、ではほぼ意味が無いからです。
そのため資料取り、クリーニング、フィードバックなど通常のクリーニングと言われる行為を3回に分けており、その中で検査結果や指導、歯周病や歯に対する知識を高めていただくことに重きをおいております。

また、歯周病治療から通常のメンテナンス、インプラントのメンテナンス等はスウェーデン式のGBTコンセプトに基づいた、可能な限り歯を傷つけない治療を行っております。

う蝕(虫歯)治療も治してつめて終わりにならないよう、衛生士指導のもと、しっかり根本的な解決をできるように指導させていただきます。

三好歯科 自由が丘|歯周病治療 のページをご参照ください

 

大きなう蝕(虫歯)治療及び根管治療

三好歯科 自由が丘歯科医師コラム|抜歯か保存か抜歯か、保存か|根管治療を行う専門の歯科医師

大きなう蝕(虫歯)治療及び根管治療は非常に大切です。
三好歯科 自由が丘では、残念ながら抜歯の1歩手前まで来てしまっている残り少ない歯を、専門の歯科医師がマイクロスコープやMTAセメント、様々な材料・道具を駆使して再発が可能な限りないように精密な治療を行います。(日本における保険診療の根管治療の再発は50%近いと言われております)

精密根管治療は初回の診査・診断は、60分 11,000円(税込)で、初診から全て自費診療となります。
三好歯科 自由が丘|根管治療 のページもご参照ください

また、当院では保険内の根管治療でもラバーダム等、出来る限りのことはさせていただいておりますが、根管の状況や部位によっては自費診療以外の治療をお断りする事もございます。
治療させていただくからには、しっかり対応できない限りは行わないという診療ポリシーのためご了承ください。

 

歯を失ってしまった後の治療について

三好歯科 自由が丘歯科医師コラム|抜歯か保存か抜歯か、保存か|抜歯後のインプラント治療におけるCT画像

進行しすぎた歯周病や虫歯、ヒビや破折が見つかった、もしくは後日破折を起こした等、不幸にも抜歯となってしまった場合は、
ガイドを用いたインプラント治療、ブリッジ治療、入れ歯(義歯、デンチャー)治療など、それぞれの患者様の予後を考慮した上で相談させていただいております。

インプラント診査・診断(CT撮影込み)は初回60分 11,000円(税込)、自費診療となります。
三好歯科 自由が丘|インプラント のページもご参照ください

 

三好歯科 自由が丘にご相談ください

三好歯科 自由が丘では、その他被せもの、詰め物、ホワイトニング等の審美歯科・メタルフリー治療のご相談も随時承っております。納得されるまで相談をした上でご検討ください。

治療からメンテナンス、矯正のご相談含めて、何かあればまずはお電話でご確認ください。
WEB予約よりもお電話のほうが、ご希望の日時で調整ができる場合があるため一度お電話いただけたら幸いです。

また最近多くなっているセカンドオピニオンも随時承っていると同時に、当院の話や説明に疑問を持たれた場合、セカンドオピニオンで他院さんを受診していただいて全く問題ありません。
当院は患者様にご説明した事を、どの歯科医院さんに聞いていただいても問題のない内容だと自負しております。
むしろ患者様の疑問があるうちにスタートをきるというのは両者にとってマイナスなのでので、積極的に行ってください。

当院では、患者様との信頼関係のもと、当院の方針で最善の歯科診療をご提案しています。

こちらのページも併せてご覧ください。
診療メニュー|補綴歯科・歯のクリーニング


不要な歯科治療をゼロにする診療
三好歯科 自由が丘 Miyoshi Dental Office
〒158-0083 東京都世田谷区奥沢5丁目25−9 インディペンデンス5F
tel:03-5726-8243
自由が丘の歯医者 歯科|天然歯を残す|マイクロスコープ・歯科用CTなど先端医療機器完備| 精密根管治療|世界基準の滅菌レベル|スウェーデン式予防歯科